倉庫自動化の5つのベストプラクティス
倉庫でのオペレーションは、企業の規模に関わらず、ほぼすべてのEコマース企業にとって、最も重要な運営部分の一つとなります。省力化、省スペース化、スループットと柔軟性の向上、メンテナンスとモニタリングの軽減といった目標を達成するために、多くの企業が自動化を進めることを期待しています。
この記事では、5つの倉庫自動化のベストプラクティスについてお話します。

適切なWMS(倉庫管理システム)によるプロセスのスピードアップ及びデータ収集の自動化を実現
WMSは、入庫・出庫、ピッキング/梱包/出荷、在庫補充などの倉庫業務を管理・コントロールをサポートするソフトウェアです。業務状況を把握する必要があり、そしてプロセスをスピードアップしたい企業にとって、倉庫管理システム(WMS)を使用することで収益を得られます。WMSは、場所に関係なく、自動保管・検索システム(AS/RS)からデータを収集することができます。WMSには在庫を追跡機能を備えているため、作業員が在庫の内容物とロケーション情報を把握できます。そして、作業員が新たな発注が必要であることを確認できたら、在庫の補充に間に合うように発注することができます。さらに、大多数の倉庫自動化システムは、他のソフトウェアと統合することができ、効率性と生産性を向上させるために、さまざまなサプライチェーンにわたって従来の手動タスクを自動化させることができます。
AGV(無人搬送車)による倉庫作業員の移動時間を短縮
AGV(無人搬送車)は、自律的に無人運転を行い、倉庫内で荷物を搬送します。床面のマークされた線、ワイヤー、磁石、レーザー、またはビジョン・カメラなどを利用してナビゲーションを行います。AGVはソフトウェア・プログラムを使用して、倉庫内での位置や移動を正確に制御します。これにより、インバウンド、アウトバウンドのハンドリング、原材料の運搬、一部の仕掛品アプリケーションを操作することができます。通常、倉庫作業員は1シフトで10~20km(6~12マイル)以上移動することがありますが、AGVを導入することでこの負担を軽減できます。AGVの利用により、倉庫管理者は作業員を重体力や重複な労働から解放し、より付加価値の高い業務に専念させることが可能です。
AMR(自律走行搬送ロボット)による作業員の安全性を向上
自律走行搬送ロボット(AMR)とは、人間が直接的に操作することなく、自律して環境内に移動できるロボットの一種です。AMRは人間にとって危険、困難、または不可能な作業ミッションに多く利用されています。例として、産業環境での重い荷物の運搬、極寒の倉庫での作業、あるいは人間が立ち入れない場所での業務などが挙げられます。
AMRは、目的地までの最適なルートを自律的に設定し、ルート上の障害物や人を回避しながら移動することが可能です。パレットや荷物の運搬はAMRを使用することで、人間の作業負担を軽減し、安全に作業を進めることができます。
ACR(自律型ケースハンドリング・ロボット)による倉庫の作業効率、保管密度、柔軟性の改善
自律型ケースハンドリング・ロボット(ACR)は、G2P(Goods-to-Person)オートメーションモデルが重要な要素となる自律型ロボットです。ACRは、AMRと進化した移動車両のハイブリッド設備であり、ラックからトートを扱うシャトルタイプの機能を備えています。自律型ロボットを導入することで、作業効率を300%~400%向上させ、保管密度を80%~400%改善することが可能です。また、99.9%という非常に高いピッキング精度を実現できます。
ACRは、倉庫の所有者が限られたスペースを最大限に活用するための効果的なツールです。多くの従来からの技術、特に手作業によるものは、人間の高さによって制限されていますが、ACRは最大12m(39 feet)の保管高さを実現できます。これにより、手作業倉庫より4倍の保管効率の向上を実現でき、より多くの貨物に十分なスペースを提供することが可能です。
ACRにはインテリジェントなソフトウェアが搭載されており、手作業によるピッキングと比べて、より迅速かつ正確に荷物をピッキングすることができます。これにより、オペレーターは、正しいトートを探す手間を省くことができ、ピッキング精度は最大99.9%まで大幅に向上します。ACRは1回走行で最大9トートの搬送能力を持ち、高度なパス・プランニング・アルゴリズムを活用することで、手作業の3~4倍の効率(作業員1人当たり)を実現します。これにより、今までにない生産性の向上が可能です。
ビジネス環境の変化が速いため、その変化に対応できる柔軟性は全てのビジネスにとって重要です。従来の自動化システムは、導入から稼働までに1年以上かかることがあり、一度設置された設備を別の倉庫に移動することはほぼ不可能です。一方、ACRシステムは簡単に別の場所へ移動できる柔軟性を備えています。この特性により、導入や移設が容易で、ビジネスの変化に迅速に対応することが可能です。
段階的に自動化を行ってください。一度に完全自動化する必要はございません。
手作業倉庫を一度に完全自動化することは、従業員や管理者に想定外な混乱をもたらす可能性が高いです。最初からすべてをアップグレードするのではなく、段階的に倉庫を自動化するようにアップグレードしていく方が良いです。新しいテクノロジーを段階的に導入することで、従業員が新しいプロセスに適応し、新たなスキルに自信を持つための時間を確保した上で、次の段階の設備を導入することができます。